公務員試験の面接では、長所や最近のニュースについて等、面接官から様々な質問がされます。様々な質問の中で、必ず押さえておかなければならない、最も重要とされている質問があります。それは志望動機です。よく使われる別の言い方に変えると、「この自治体(県、市)でどういった仕事に携わりたいですか?」という質問です。この質問は面接試験において必ずされる質問にあたります。この質問への回答によって、面接官は受験者のあらゆることを判断し、合否の結果に直結することも多々あります。そのため、面接試験において必ず押さえる質問であり、志望動機がおろそかになっている受験者が採用試験を突破できることはまずありません。そんな志望動機について、この記事では志望動機が必ず聞かれる理由、志望動機の作成方法等を解説します。現在の公務員試験においては、面接重視の自治体がほとんどです。この記事から志望動機を作成する手がかりになれば幸いです。
志望動機で見られていること
志望動機は単に、採用後の配属先の参考にするために、携わりたい仕事、いきたい部署を聞かれているのではありません。
志望動機は、どれだけこの自治体で働きたいとおもっているか、定年までこの自治体で働く意思はあるか(辞職しないか)を、確かめるために聞いているのです。
志望動機が必ず聞かれる理由
なぜ、志望動機を聞き、働き続ける意思があるのかを確認するのかは、現在の公務員における時代背景が大きく関係しています。近年、よく新聞やニュースで目にすることが多いですが、公務員から民間企業へ、人口規模等が小さな自治体から大きな自治体へ転職をする人が多くなっていること、公務員試験への受験者が年々減少していることが原因としてあげられます。このような問題から、各地方公共団体のあらゆる部署では、人手不足が問題となっています。また、試験時に採用できる人数は条例や規則できまっており、職場に必要な人数だけ採用しているため、多めに採用するといったことはできません。そのため、採用後に辞職されてしまうと、辞職した職員が配属されていた部署が人手不足となり、仕事が追いつかなくなります。そのため、人手不足の部署は採用担当の部署に「人手不足で仕事が追いつかないから人を増やしてくれ」と要望します。そうなると、新たに人を採用するしかありません。他の部署も必要なだけのギリギリの人数で仕事をしているため、他の部署から異動させることは難しいのです。しかし、採用試験を実施そのためには時間や費用がかかるため、頻繁に採用試験を実施することはできません。そのため、一定期間その部署は人手不足となり、仕事が追いつかない状況が続くことになります。このようなことから、採用担当の部署は、「この自治体で働きたいと本当におもっているか」、「定年までこの自治体で働く意思はあるか(辞職しないか)」を重要視しています。仕事ができる、できないももちろん大切ですが、面接の段階で仕事ができる、できないを判断することはなかなか難しく、また、実際に働くことによる向き不向きもあります。また、仕事をしていく中で大幅に成長することも十分に考えられるため、やはり一番重要視するのは「この自治体で働きたいとおもっているか」、「定年までこの自治体で働く意思はあるか(辞職しないか)」になるのです。
志望動機の作成方法
では、ここからは本題である、実際に志望動機の作成方法をお伝えします。
志望動機を作成するにあたり、まず5つの構成で整理することから始めます。
【1】 携わりたい業務、貢献したいこと
【2】 【1】の業務の実施から解決しようとしている課題、問題
【3】 【1】の業務の具体的な内容
【4】 【1】の業務に携わりたいと思った理由、エピソード
【5】 【1】の業務で活かせる自分の長所
このように、5つに構成に分けて考えることで、文章にしたときにまとまりのある志望動機を作成することができます。では、実際に具体例をあげてみます。
具体例
【1】 鳥獣害対策業務に携わり、青果物の安定供給に貢献したい。
【2】 イノシシ、シカ等の有害鳥獣による農作物被害が多い現状がある。
【3】 防除柵の設置方法を農家の方々へ伝える業務
【4】 農家をしている祖父母も被害を受けているため、改善したいという思いが強い。
【5】 塾のアルバイトや大学のゼミでの発表で培ってきたわかりやすく説明する能力
次に、一つずつ内容を解説していきます。
解説
【1】の解説
まずは、質問されている志望動機の答えになる結論から伝えることが大切です。結論は短く、理解されやすい内容 にすることを意識します。具体的な業務内容まで記載し、文が長くなってしまわないように注意しましょう。公務員になってから受けることになる研修では、上司に説明するときは結論から伝えることを学びます。そのため、結論から伝えることで、面接官から好印象をもってもらえます。
【2】の解説
業務を実施しているということは、その自治体において解決を目指している課題や問題があるということです。課題や問題に理解があることを示すことで、市の将来についてしっかり考えていることを面接官にアピールできます。
【3】の解説
具体的にどのような業務に携わりたいか伝えることで、その自治体の政策をしっかり調べていることを面接官にアピールできます。ここが他の受験者と差をつける大きなポイントになります。多くの受験者は具体的な業務内容まで調べることができていません。今回の具体例で説明すると、鳥獣害対策の業務を市が実施していることは、ホームページを見るとすぐにわかります。しかし、具体的な業務内容にあたる、「防除柵の設置方法について農家へ伝える業務という部分」はホームページを見て探したとしてもなかなか見つけることはできません。こういったすぐにホームページ等で見つけることができない情報である実際に職員が実施している業務内容を把握してることはとても重要です。ちなみに、こういった具体的な業務内容を調べる方法としては、ホームページや広報をしっかり読み込むか、市が実施している採用試験受験者のための説明会に参加し、職員に直接聞く方法があります。
【4】の解説
様々な政策、業務内容がある中でどうしてその業務に携わりたいと思うのかを説明するための理由やエピソードを伝えることで、志望動機の説得力が増します。
【5】の解説
自分にはどういった長所があり、どのようにその業務で活かすのかを伝えることで、面接官も実際に受験者がその自治体で働いている姿をイメージしやすくなります。
志望動機(例文)
それでは、実際の5つの構成をつなげて、志望動機を文章にしてみます。
【1】私は、○市の鳥獣害対策業務に携わり、青果物の安定供給に貢献したいと考えています。○市の広報から、【2】○市ではイノシシ、シカ等の有害鳥獣による農作物被害が多い現状を知りました。また、【4】農家をしている祖父母から、日常的に被害を受けていることを聞いていました。このような現状を改善するため、市が鳥獣害対策として実施している、【3】防除柵の設置方法を農家の方々へ伝える業務に携わりたいと考えました。【5】私が塾のアルバイトや大学のゼミでの発表で培ってきたわかりやすく説明する能力を活かし、農家の方々に適切な防除柵の設置方法を伝え、○市を有害鳥獣による農作物被害が少ない市にしたいです。
基本的な志望動機の構成はこのような形になります。面接シートの文字数によっては、【4】や【5】の内容をさらに具体的に記載してみてください。
最後に一言
志望動機を作成するときは、まず、5つの構成にわけて考えてみてください。5つの構成にわけて考えることで、文章にしたときにまとまりのある志望動機を作成することができます。志望動機によって、「この自治体で本当に働きたいと思っているのか」や、「論理的に物事を伝えることができるのか」等、面接官は受験者のあらゆることを判断し、合否の結果に直結することも多々あります。そのため、志望動機は公務員試験に合格するために、入念な準備をしておく必要があります。
もちろん、志望動機の他にも公務員試験を合格するために押さえるべき質問はあります。他の質問への対策としては、
が面接官の本音を交えた解説が記載されており、とてもおすすめです。
この記事が公務員試験の面接シート作成の参考になれば幸いです。最後までご覧いただきありがとうございました。
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